新幹線の窓に流れる景色をぼんやり眺めていた。次の撮影地まで一時間半。メイクも直したし、資料も確認した。やることは終わっているのに、胸の奥だけが落ち着かなかった。以前の私は、常に頑張っていた。予定を詰めて、頼まれたことは断らず、空いた時間には何か学ぼうとしていた。努力している実感はあったのに、不思議と満たされなかった。ある日ふと思った。これは努力ではなく、消耗だったのかもしれないと。努力は前に進む感覚がある。でも消耗は、ただ削れていくだけだった。毎日忙しいのに、何も積み上がっていない感じがしていた理由はそこにあった。そこでまず作ったのが「やめたことリスト」だった。なんとなく続けていたSNSチェック。義務のように参加していた集まり。気乗りしないのに引き受けていた仕事のスタイル。書き出してみると、自分の時間を削る原因がはっきり見えた。やめると決めたとき、少し怖さもあった。関係が切れるかもしれないし、評価が下がるかもしれない。でも実際は、何も大きくは変わらなかった。ただ、自分の中の余裕だけが増えていった。頑張りすぎていた頃の私は、他人の期待でスケジュールを埋めていた。今は、自分のエネルギーの使い道を選ぶようになった。全部に応えなくていい。全部できなくていい。その代わり、本当に大事なことにちゃんと力を使う。すると不思議と、少ない行動でも手応えが残るようになった。一日が終わったときの疲れ方も違っていた。ぐったりではなく、使い切ったという感覚だった。頑張っているのに報われないときは、進み方よりも、背負っているものを見直したほうがいいのかもしれない。窓に映る自分の顔が少し穏やかに見えた。景色は相変わらず速く流れているのに、心の速度だけがゆるんでいた。
“頑張っているのに報われない日々”を抜けた方法
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