夜の部屋で手帳を開き、ペンを持ったまましばらく止まっていた。昔は空白を埋めるように予定を書き込んでいたけれど、今は少し違っていた。予定は埋めるものだと思っていた。でも本当は、守るために配置するものだった。まず最初に書き込むのは、仕事ではなく余白の時間だった。何もしない夜、早く寝る日、カフェでゆっくりする午後。先に確保しておくと、そこに予定を入れにくくなる。すると不思議と、心の余裕が前もって生まれた。誘いを断る基準も決めた。「その日疲れていても行きたいか」。基準があると迷いが減った。全部に応えなくても、人間関係は案外壊れなかった。未来の自分を楽にする予定の入れ方を意識すると、今の選択が変わっていった。忙しい一週間のあとに休みを取るのではなく、忙しくならないように配置する。締切の前日に余裕をつくる。回復日をあらかじめ入れておく。時間管理というより、エネルギー管理に近かった。時間は誰にでも同じだけあるけれど、使い方は少しずつ違う。その差が、自由時間の差になっていくのかもしれない。手帳を閉じると、まだ夜は長かった。予定を減らしたはずなのに、安心感だけが増えていた。時間は命の配分。そんな言葉が、静かに胸に残っていた。
自由な時間が増える人の、予定の入れ方
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