“何もしていないのに疲れる人”のための回復習慣

撮影終わりのカフェは、夕方の光でやわらかく満ちていた。コーヒーの湯気を眺めながら、ようやく肩の力が抜けていくのを感じていた。体はそこまで動いていないのに、なぜか毎日疲れている。昔の私はずっとそうだった。原因は体力不足ではなく、情報の摂りすぎだったのだと思う。朝起きてすぐニュース。移動中はSNS。待ち時間には動画。頭はずっと働き続けていた。休んでいるつもりの時間が、いちばん脳を疲れさせていた。そこで始めたのが、情報を入れない時間を意識的につくることだった。移動中は音楽だけにする。食事中は画面を見ない。寝る前はスマホを別の場所に置く。最初は落ち着かなかったけれど、数日で頭のざわつきが減っていった。何もしない時間は、怠けている時間ではなかった。回復している時間だった。予定を詰めないことにも慣れていった。空白のある一日は不安だったけれど、その余白があるからこそ、仕事の日に集中できた。ひとりで静かに過ごす時間は、感性の充電みたいなものだった。外に向けていた意識が、自分の内側に戻ってくる感覚があった。疲れを取るには、何かを足すより、減らすほうが効くこともある。カップの底に残ったコーヒーは少し冷めていた。体より先に、頭が静かになっていく夕方だった。

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