午前中の撮影がひと段落して、スタジオの隅に置かれた折りたたみ椅子に腰かけた。白い背景紙の前では次のセッティングが進んでいて、スタッフの足音が遠くに響いている。水筒のふたを開けて一口飲みながら、昔の自分の食事のことを思い出していた。
以前は、痩せたいと思うたびに食べる量を減らしていた。夜はサラダだけ、お昼は軽く済ませる。お腹は空いているのに、我慢できている自分を少し誇らしく感じていた時期もあった。
でもその生活は長く続かなかった。空腹の反動で甘いものを一気に食べてしまったり、撮影後にどっと疲れて動けなくなったり。体重は落ちても、体のラインは思ったように整わなかった。
今は真逆のことをしている。減らすより、整えるほうを意識している。
朝は必ずたんぱく質をとる。よく食べているのはオイコスの無糖ヨーグルトに、ナッツと少しのはちみつをかけたもの。それにゆで卵か、時間がある日はサラダチキンを少し。地味な組み合わせだけれど、午前中の集中力がまるで違う。
食事を抜いていた頃は、常に頭のどこかで空腹を感じていた。その小さなストレスが積み重なって、結局食べすぎにつながっていたのだと思う。
きちんと食べるようになってから、間食が自然と減った。甘いものを無理に我慢している感じもない。体が安定すると、欲求も穏やかになるのだと初めて知った。
体型の変化はゆっくりだった。でも、ウエストまわりがすっきりしてきたのは体重が落ちたからではなく、むくみやだるさが減ったからだと思っている。
痩せるために食べないのではなく、整えるために食べる。考え方が変わっただけで、ダイエットは苦しいものではなくなった。
名前を呼ばれて立ち上がる。空腹でふらつくこともなく、体が軽い。その感覚がいちばんの変化だった。

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